5-9: 歴史的珍スポ・・神秘珍々ニコニコ園、東松山市(埼玉)閉園

所在地:埼玉県東松山市早俣1-2
取材時期:2002年5月
ジャンル:博物?系??
珍スポ度: ☆☆☆☆☆(☆五個が最高得点)
コメント:ニコニコ園は、珍スポとしては、かなりメジャーな部類であろう。テレビでも何度も取り上げられているらしい。前々から是非取材したいと思っていたので、岩窟ホテル・平和資料館取材を兼ねて埼玉は東松山市に出かけてみた。駅前からは標識が出ているらしいのだが、我々は岩窟ホテルより直行したので、頼りは住所を入力したナビのみ。かなり近くまで来ているのは確かなのだが、たどり着けない。結局ミニストップのにいちゃんに「あの~、ニコニコ園を探しているのですが・・・」と尋ねると、すぐに場所を教えてくれた。かなりわかりにくい場所なので、事前調査をしっかりするか、直接電話をしてしまうのもありかもしれない。




で、早速取材開始!プレハブの受付には誰もいない。その場合でも1200円を箱の中に入れてくれ、と書いてあるのでちゃんと料金を納め、入場券をゲット。珍珍道こちら、の看板の横に「書いてある文字をよく見ないとソンスル」の記述。これは心して係らねば。奥へ進むと木彫り彫刻の嵐。おまけに意味不明のメッセージが壁中に貼り付けてある。地獄の三丁目に木彫り閻魔様や木彫り鬼が居たり、歌丸美人18面彫刻があったりと脈絡無く木彫り達が並ぶ。彫刻のタッチは非常に豪快だ。さらに進むと休憩室にぶちあたる。ここにもおびただしい数の木彫の数々が・・・。さらに展示は外へと続く。




ここからがニコニコ園のメインであるプレハブ倉庫ブースによるテーマ別木彫り展示だ。観音様ブース、キリスト関連木彫ブース、化け物妖怪ブースにアジアの神・東条英機ブースまである。通路の両側にびっしり並べられた物置の数ざっと30くらいあるだろうか。すごい数だ。ざっと見終わり、帰りかけたその時である。前方からひょこひょこと初老の男性が・・・。「説明しなきゃわかんないでしょ。さ、こっちこっち」 そうニコニコ園園長である橋本おっちゃん登場だ。せっかく説明してくれるというので、これを断る手はない。まずは今見てきたムッソリーニ逆さづりブースより解説開始。ほとんどの木彫りが太い一本の木から彫られて、その木の入手方法やら出所やら説明してくれる。話を聞いていると橋本のおっちゃんはどうやら大工の棟梁だったらしい。寺の境内にある木が台風で倒れたのを買ったとか、流木を拾ったとか・・。一通り説明が終わり、一息つけるな、と思ったところ、おっちゃんは道を渡って向かいの藪の中へ入って行くではないか。後を追って藪の中へ入ると、そこにはさらに大量の物置ブースがぁ・・・。おっちゃんの説明はさらに続く。60年かけて彫り続けた木彫りの数々を堪能させてもらいました。ありがとう、橋本のおっちゃん。




(補)料金を払わず、勝手に内部を探索する入園者がいるようだが(ニカが取材中にもそういう輩がいた)、ニコニコ園はおっちゃんの解説なしでは成り立たない珍スポである。きちんと料金を納め、60年の仕事に敬意を示し、しっかり解説を楽しみましょう。



補)訪問の2年後、2004年に橋本園長は他界された。それに伴いニコニコ園は閉鎖。おびただしい数の木彫りたちはいったいどこにいったのであろうか?2025年の現在、ウェブ調査してもその行方は不明のまま。あらためて写真を整理してみると、昭和の珍スポとしての破壊力は半端ない!この先、これ以上の篤い私設美術館?が現れることはないであろう。橋本園長のご冥福をお祈りするとともに、彼の偉業を少しでも後世に伝えることができれば、と思う。
なお、現在はニコニコ園跡地は全く普通の住宅街となっているため、訪問してもなんの痕跡もありません。